用語集

工事経歴書とは?(様式・書き方)

工事経歴書とは、建設業者が施工した工事の実績を一覧にまとめた、建設業法に基づく法定様式(様式第2号)です。建設業許可の申請・更新時の決算変更届や、経営事項審査(経審)で提出が求められます。工事名、発注者、工事の内容、請負金額、工期などを、定められた記載要領に従って記入します。

営業用のパンフレットと異なり、工事経歴書は審査・確認のために作成される書類です。各項目は、行政や審査機関が施工実績を確認できるように定められています。同じ案件データは、会社紹介資料の実績紹介にも使われます。

工事経歴書の記載項目

様式第2号では、おおむね次の項目を記載します。

  • **注文者(発注者)**と、元請・下請の別
  • 工事名工事現場のある都道府県・市区町村
  • 配置技術者の氏名と、主任技術者・監理技術者の別
  • 請負代金の額(税込/税抜の扱いは記載要領に従う)
  • 工期(着工年月・完成年月)
  • 業種の区分(審査を受ける業種ごとに整理)

決算変更届では原則としてその期のすべての工事を、経審では業種ごとに金額の大きい順に完成工事高の一定割合まで記載するなど、目的によって記載範囲が異なります。

工事経歴書が必要になる場面

  1. 決算変更届(事業年度終了届)。 建設業許可業者は、毎事業年度終了後に工事経歴書を含む書類を所管行政庁へ提出します。
  2. 経営事項審査(経審)。 公共工事の入札参加資格を得るための審査で、完成工事高の裏付けとして工事経歴書を提出します。国土交通省および各都道府県が様式と記載要領を公開しています(国土交通省)。
  3. 入札の資格審査。 発注機関によっては、施工実績の確認資料として工事経歴書の写しを求める場合があります。

記入例

架空の建設会社の記載イメージです(実際の提出は公式様式を使用してください)。

**注文者:**北川市上下水道局(元請) · **工事名:**北川浄水場 更新工事 · **現場:**北川県北川市 **配置技術者:**佐藤 健一(監理技術者) · **請負代金:**420,000千円 · **工期:**2023年4月〜2025年3月

経営事項審査・入札参加資格との関係

工事経歴書は単体の届出ではなく、公共工事を受注するまでの一連の手続の入口にあります。

  • 建設業許可(決算変更届) - 毎事業年度終了後4か月以内に、その年度の工事経歴書を添えて届け出ます。ここが原本です。
  • 経営事項審査(経審) - 完成工事高は工事経歴書から積み上がるため、記載の誤りがそのまま評点に響きます。経審の結果通知書がなければ公共工事の入札に参加できません。
  • 入札参加資格審査 - 各発注者への登録申請で、経審の結果と併せて工事実績を求められます。

つまり工事経歴書の精度は、許可の維持だけでなく、その先の評点と入札参加資格まで連鎖します。案件記録を日頃から構造化して持っておく価値はここにあります。

記載が評価で外される理由

工事経歴書や入札の実績提示は、応札者が思う以上に採点から外され、しかもほぼ避けられる理由によります。多い5つです。

  1. 金額が閾値未満。 指定契約金額以上の同種案件が求められたのに、提出実績が届かない。評価者に裁量はなく、閾値未満の実績は単純に除外されます。
  2. 対象期間外。 締切日直前に完了した案件は、他が完璧でも除外されます。正確な期間と発注者の「完了」の定義を必ず確認します。
  3. 役割の誇張。 軽微な下請だったのに主導したかのように読ませる。照会先が小さい役割を述べると、実績は減点され、提出全体の信頼性も傷つきます。
  4. 連絡の取れない照会先。 担当者が退職・番号変更・評価期間中の不在。誰も確認できない実績は無価値です。
  5. 提案本体との不整合。 実績様式の金額や日付が技術提案や会社紹介資料と異なる。矛盾は不注意か誇張と読まれます。

枠組みを勝ち取る応札者は、最も印象的な案件を持つ者ではなく、評価者に外す理由を決して与えない者です。

工事経歴書と実績シートの使い分け

工事経歴書は法定の届出書類、実績紹介シートは営業・提案用の資料で、目的が異なります。しかし両方とも、案件ごとの事実—発注者、金額、工期、配置技術者、役割—という同じ情報から作られます。案件データを一元管理しておけば、決算変更届の工事経歴書も、提案用の実績資料も、それぞれの様式で出力できます。

テンプレートとツール

社内の実績整理には、実績紹介シート テンプレート(Word・PDF)から始め、公式様式の項目に合わせて転記してください。同じ案件レコードは会社紹介資料の実績紹介にも使えます。

案件ごとの情報を毎回入力し直す代わりに、無料の会社紹介資料作成ツールが各案件を一度保存し、実績資料を必要なときに出力します。工事経歴書そのものは公式様式で作成しますが、その元データの管理を効率化できます。自社の案件データからこうした実績資料を自動生成しましょう—無料のSUNAGOアカウントを作成

よくある質問

工事経歴書は何件記載すればよいですか?

決算変更届では原則としてその事業年度に完成・施工したすべての工事を記載します。経営事項審査(経審)を受ける場合は、審査対象の業種ごとに、完成工事高の合計の7割に達するまで金額の大きい順に記載するなどの規定があります。最新の記載要領を必ず確認してください。

工事経歴書に決まった様式はありますか?

あります。建設業法に基づく様式第2号が定められており、都道府県ごとにExcel様式が公開されていることが多いです。本ページのテンプレートは社内の実績管理用であり、公式様式そのものではありません。提出時は必ず所管の公式様式を使用してください。

工事経歴書と会社紹介資料の実績紹介の違いは?

工事経歴書は許可・経審のための法定の届出書類で、記載ルールが定められています。会社紹介資料の実績紹介は営業用に代表案件を見せる資料で、様式の定めはありません。ただし元になる案件データ(発注者、金額、工期、役割)は共通しており、一元管理すると両方を効率よく作成できます。